北陸の古都金沢。
たくさんの人で賑わう近江町市場。
のどぐろが有名なのは金沢にこれを扱う店がたくさんあるからだと言われています。
ちょっと足を延ばせば日本海に向かうきれいな内灘砂丘(うちなだ)も見ることができます。
そんな金沢の中心金沢城。
今回は中に足を踏み入れて美しい建物を見学してみようと思います。
まずは「前田利家公」像を見てから大手門へ
兼六園と金沢城の間にある前田利家公の像。
凛々しいお顔もそうですがやたら長い兜が目立ちますね。
なぜこんな形をしているのかというと「鯰」をイメージしているからとのこと。
「鯰」には「地震を起こす力」があると考えられており、それにあやかった武勇を誇る利家公らしい兜です。
やたら目立つので、戦場ではいったいどんな様子だったのかちょっと心配にもなります。
しばらく歩くと巨大な石垣が見えてきます。
大手門の跡。
金沢城の正面入り口です。
当時は立派な門があったのでしょうが、現在は石垣だけが残っています。
門をくぐってまっすぐの位置にやたら大きな石があるのがわかると思います。
これは「鏡石」と呼ばれています。
誰もが目にする場所に巨石を置くのは城主の権威を知らしめるため。
「こんな大きな石を据えることができる殿様ってすごいんだな」と思わせるということですね。
城内に入ると絶景が!
大手門をくぐった先にだだっ広い空間が広がります。
遠くから城をながめながらゆったり歩くことができるので、実にうっとりする場所ですね。
右側に見えるのが二の丸にある菱櫓。奥の五十間長屋の様子もわかりますね。
坂の上にあるのが河北門(かほくもん)。金沢城の実質的な正門です。
2010年に復元されたものですが、櫓門内部も見学できるようになっており、そこからは菱櫓を望むことができます。
櫓門から私が撮影した画像がこれです。
屋根の向こうに菱櫓が建っていてそこからクネクネと五十間長屋が続いている。
狭い空間の中に金沢城の主要な建物がギュッと詰まったとても密度の高い画像。
とても気に入っているのですがいかがでしょうか。
気になったのが門の外、右手にあるニラミ櫓台。
もともとここには櫓があったのですが火事で焼けてしまい、その後このような窓のついた塀が築かれました。
平和な時代だから櫓を建てる必要はないという当時のエコなのかもしれませんが、ただの塀ではなくちょっと凝った造りになっているのが金沢城の面白いところですね。
河北門にはもう一つ見どころがあります。
それは桝形を囲む白い壁。
「隠し石垣」といいます。
一見ただの漆喰塀に見えるのですが中には石垣が積まれおり、ちょっとやそっとじゃ崩すことができないとんでもない強度を誇る塀なのです。
三ノ丸に入ると復元櫓群がびっしり並ぶ
河北門をくぐった先は三の丸。
そして堀を隔てた二ノ丸には素晴らしい金沢城の建物が見えてきます。
青空をバックに凛々しく、そしてどこかオシャレにそびえたつ姿は美しいですね。
これらの櫓群の内部は見学できるようになっています。
北側にあるのが三層三階の菱櫓。一階の二方向にでっぱりがあります。
そこからクランクして続くのが二階建ての五十間長屋。
その名の通り五十間(90m)近くある(実際は70m程度)長い建物です。
南側は橋爪門で二の丸への入り口。高麗門と櫓門による桝形構造で、すぐそばに三層三階の橋爪門続櫓が門を守っています。
実は金沢城は何度も火災に遭っており、その度に建物も再建されてきました。
この五十間長屋を中心とする櫓群もそうで、最終的には明治時代に二の丸御殿とともに消失してしまいました。
そして現代によみがえったのは2001年のこと(橋爪門2015年)。
金沢城の美を形作る3つの特徴とは?
この素晴らしい復元櫓群を前に、金沢城の建物の特徴をまとめてみましょう。
まず目立つのは海鼠壁(なまこかべ)。建物の下部分が白黒の四角模様になっています。
黒い部分は瓦で、貼り付けてつなぎ目を漆喰で固めてあります。
この目地のふっくらした形がナマコに似ていることからこのような名前がついたと言われています。
デザインだけでなく「雨風に強く耐火性に優れる」という機能的メリットもあるようです。
次は輝く屋根。
金沢城の建物には鉛瓦が使われています。
これは木で作られた屋根の上に薄い鉛板(なまりいた)を貼ったもの。
一般的な瓦より軽く、キラキラ白く光って美しく見えます。
見た目UPの効果だけでなく「戦いになったらこの鉛板を溶かして鉄砲の弾にする」という活用方法もあるようです。
あとは出っ張った窓(出格子窓)。
出っ張っている下の部分は石落とし、横の窓からは側面射撃ができるというメチャメチャ戦闘を意識したものなのですが、それに格式高い唐破風を載せてあるのが美しいところ。
復元された櫓群には、これが何か所も設けられています。
金沢城の建物がやたら美しく見えるのは、これら特徴的なデザインが徹底的に施されているからなのですね。
復元櫓群の内部は楽しい!
この菱櫓、五十軒長屋、橋爪門続櫓の内部を一気に見ることができるので行ってみましょう。
五十間長屋をまっすぐに歩いていきます。
ここは普段は倉庫として使われていたようですが、戦闘時には二の丸を守る砦となります。
内部にはいろいろな展示物がありますので、好きな方は見学に時間がかかることを覚悟してください。
金沢城建物の特徴のひとつ、出格子窓の内側はどうなっているのでしょうか。
下の石落とし窓はふさがれていますが、外の様子はよくみえますね。
出っ張って作られているので横の窓からも外を確認することができますね。
場所を変えて橋爪門続櫓の窓から外を覗いてみましょう。
こちらの窓からは橋方向は良く見えますが、桝形内はちょっと見にくい。
オシャレな屋根が邪魔しています。
隣の窓からは橋は見えませんが桝形内部は良く見えます。
建物が復元されているとこんなことも楽しめて最高です。
金沢城の新たなシンボル「菱櫓」は本当に菱型
菱櫓にやってきました。
その名の通り平面が菱形になっているのですが、言われないとわかりません。
一般的に四角い建物の角は90度になりますが、この菱櫓は100度と80度になっています。
映像ではわかりにくいかもしれませんが、ちゃんと観察してみるとそんな風にも見えます。
マップでは確かに菱形になっているのが確認できます。
技術不足で正方形にならなかったのかなと思っていました。
ところが金沢城の菱櫓は「わざと」このように造られているとのこと。より「広い範囲を確認」でするための工夫と言われています。
確かに菱櫓のある位置は二の丸の端なので、北と東方向の監視は重要。
そして「より見える」ということは櫓内から攻撃できる範囲も広がっているということですね。
ということは、建物はどのようになっているのか。
じつは菱櫓は柱を立てる段階で菱形になっているとのこと。
すべての材料がそれに合わせてつくられているんですね。
これはとても高度な技術。考案した方もそうですが、組み上げた大工さんたちの技術にびっくりですね。